個人投資家に人気のS&P500インデックスファンド。
そのS&P500の3倍の値動きをするファンドがあったらどう思いますか?
本記事ではS&P500の3倍の値動きをするレバレッジ型ETF「SPXL」についてS&P500に連動するETF「VOO」と比較します。
また「SPXL」のようなレバレッジ型インデックスファンドのメリット、デメリットについても検討します。
過去のSPXLとVOOのデータを比較することでレバレッジ型ファンドの特徴を把握でき、投資初心者から中級者までにレバレッジ型ファンドの理解が深まります。
是非ご一読ください。
- レバレッジ型インデックスファンドに興味のある方
- SPXLに興味のある方
目次
レバレッジ型インデックスファンドとは
私のおすすめするインデックス投資とは株価指数と同じ値動きをする銘柄に投資する方法です。
長期間継続して投資し、平均して年利4~6%ほどリターンを狙う投資方法です。
インデックス投資についてはこちらから⇩
一方でレバレッジ型インデックスファンドとは株価指数の2倍~3倍の値動きをする銘柄です。
インデックス投資よりも値動きが激しく、年利8~20%ほどの利回りの狙えます。
しかし、値動きが激しいため短期投資に適している商品と言われています。

近年レバレッジ型インデックスファンドに長期的に投資する方が増え、ちょっとしたブームになっています。
このレバレッジ型インデックスファンドのメリット・デメリットを本記事で検証します。
高配当ETFについてこちらから⇩
比較対象 VOO・SPXLとは?
レバレッジ型インデックスファンドを検証するため、人気のある米国株価指数S&P500に連動する「VOO」とS&P500の3倍の値動きをする「SPXL」の比較をします。
両銘柄の詳細は下記のとおりです。
VOO | SPXL | |
運営会社 | Vanguard | Direxion Investments |
設定日 | 2010/9/9 | 2008/11/5 |
経費率 | 0.03% | 0.90% |
純資産総額 | 2,913 億USドル | 32.8 億USドル |
VOO(Vanguard S&P 500 ETF)
Vanguard社が運用するETFです。
米国の大型株500種に投資、S&P500に連動する動きを目指すETFです。
インデックス投資家に人気のある投資銘柄です。
詳しくはこちらから⇩
SPXL(Direxion Daily S&P 500 Bull 3X)
State Street社が運営する高配当ETFです。
S&P500の三倍の値動きをすることを目指したレバレッジ型インデックスファンドです。
値動きが激しいので、高いリターンとリスクがあります。
詳しくはこちらから⇩

SPXLは経費率が0.9%と手数料が高いことは注目すべき点だね。
株価時系列比較
まず各ETFの株価推移を比較します。
2010年9月を100としたときの2022年2月までの12年間の各株価の推移です。
コード
import pandas as pd
import numpy as np
import matplotlib.pyplot as plt
import seaborn as sns
import pandas_datareader.data as web
import datetime
from scipy import stats
%matplotlib inline
import warnings
warnings.filterwarnings('ignore')
# 期間設定
start = datetime.datetime(2010,9,10)
end = datetime.datetime(2022,4,22)
# データ取得
df = web.DataReader(['SPXL','VOO'],'yahoo',start,end)['Adj Close'] # Adj Close :終値
# df_sp = web.DataReader(['VOO'],'yahoo',start,end)['Adj Close']*3 # Adj Close :終値
# df = pd.concat([df, df_sp], axis=1)
# 系列名変更
df.columns = ['SPXL','VOO']
# 1980年3月末を100として指数化
df_index = df / df.iloc[0]*100
sns.set_style('whitegrid')
df_index.plot(figsize=(10,5))
実行結果


大人気の株価指数S&P500に連動するVOOの利回りが霞むほど、SPXLは圧倒的な利回りを実現しています。
一方で、暴落の時には半値以下まで資産が減ることもグラフで分かります。
2010年9月から2022年4月までの十年間で各ETFは何倍になったか示します。
2010年9月から何倍になったか | |
VOO | 4.83倍 |
SPXL | 26.77倍 |
約12年間でSPXLは26.77倍と恐ろしいリターンを記録しています。

VOOの4.83倍と高い利回りですが、SPXLではVOOの約5倍のリターンです。
高いリターンは魅力ですが裏を返せばリスクが高いことも表しています。
リターンとリスクは表裏一体です。
月次収益率の比較
月次収益率について比較します。
推移を下記にコードとpythonの実行結果を示します。
コード
# 日次データから月次データに変換(月末値)
df_index_m = df_index.resample('M').last() # resample: 月ごと(M)に集計しなおす last: 月末
# 収益率に変換
df_r_m = df_index_m.pct_change().dropna()
# 月次収益率をプロット
df_r_m.plot(figsize=(10,5))
実行結果

SPXLがVOOの約3倍の値動きをしていることが分かります。
そのためSPXLでは一ヶ月で40%近く資産が増える場合もあれば、50%近く資産が減る場合もあります。
値動きが急激で振れ幅の大きさが分かります。
相関関係の比較
まずは各ETFの相関関係を調査します。
コード
df_r_m.corr() # 相関関係
実行結果
SPXL | VOO | |
SPXL | 1.00000 | 0.996114 |
VOO | 0.996114 | 1.00000 |

相関関係が1に近く、ほとんど同じ動きであることが分かります。
月次収益率のヒストグラム
月次収益率について確率分布を用いて検討を行います。
コード
sns.set_style('whitegrid')
f, axs = plt.subplots(1, 2, figsize=(12, 4))
sns.histplot(df_r_m, x='SPXL', stat='probability', kde=True, ax=axs[0])
sns.histplot(df_r_m, x='VOO', stat='probability', kde=True, ax=axs[1], color='orange')
f.tight_layout()
実行結果

リターンがプラスになる確率>マイナスになる確率 ということが分かります。
また、SPXLの方がリターンの幅が広いことも分かります。
グラフを重ねます。


SPXLのリターンの幅の広さが分かります。
リターンが高い月もあれば、低い月もある。ボラリティが高いのがSPXLの特徴です。
年換算の平均リターンと標準偏差
2銘柄の平均リターンとリスク(標準偏差)を求めます。
# 年率換算
r_y_mean = (1+df_r_m.mean())**12 -1
r_y_sd = np.sqrt(12) * df_r_m.std()
pd.DataFrame({'Mean':r_y_mean,
'Sd':r_y_sd,
'Mean/Sd': r_y_mean / r_y_sd})
実行結果
mean | sd | mean/sd | |
SPXL | 0.449081 | 0.423011 | 1.061629 |
VOO | 0.153960 | 0.133701 | 1.151527 |
SPXLのリターンは年率約45%とVOOの約3倍です。
一方でリスクを表す標準偏差はSPXLの方がVOOより3倍以上高くなっています。
リターンは約3倍に増加しますが、リスクはそれ以上に増加します。

SPXLはリターンは約3倍に増加しますが、リスクはそれ以上に増加します。
リスク許容度が高くないと投資は難しそうです。
時系列予想
prophet関数を用いて各銘柄の1年後までの時系列予想をします。
黒線が実際の株価。青線が予想値、薄く青い範囲が予想の範囲を表しています。
あくまで時系列予測ですので、大きな事件が発生したら外れることありますが、 今後の傾向を把握の参考にはなります。
prophet関数については下記の記事を参考してください。
コード
from fbprophet import Prophet
# 期間設定
start = datetime.datetime(1980,3,31)
end = datetime.datetime(2022,4,22)
# データ取得
df = web.DataReader('SPXL','yahoo',start,end)
df.head()
df['ds']=df.index
df['y']=df['Adj Close']
# モデル作成
model = Prophet()
model.fit(df)
# 365日*5年分予測
year = 3
future = model.make_future_dataframe(periods=365*year)
forecast = model.predict(future)
# 結果確認
forecast[['ds', 'yhat', 'yhat_lower', 'yhat_upper']].tail()
fig1 = model.plot(forecast, figsize=(8,4))
plt.xlabel('date')
plt.ylabel('')
実行結果


長期的にはSPXLは株価は上昇傾向にあることが分かりました。
まとめ
最近人気の高まってきているレバレッジ型ETF(SPXL)とVOOをpythonを用いて比較を行いました。
過去の実績はSPXLの方が約3倍ほどリターンが良いですが、一方でリターンの高さも際立ちました。
高いリターンにばかり目を奪われると、リスクを忘れがちです。
リターンが高いということはリスクが高いということに注意しましょう。
レバレッジ型ETFのメリット : リターンが高い
レバレッジ型ETFのデメリット: リスクが高い
⇒ リスク許容度が高い人は高いリターンを得るために投資するのはあり。
しかし、リスクが高いことは忘れずに。

十分に投資経験があり、株式が暴落しても保有し続けられる自身がある方は投資するのはありだと思います。一方、投資初心者が投資すると値動きが気になり、途中で売却してしまう可能性が高いと思うので投資しない方が良いでしょう。
実際のpythonのコードはこちらの記事も参考にしてください。
プログラミング初心者でも簡単にシミュレーションできますので、ぜひ一度再現してみると新たな発見があるかもしれません。
また、大人気のETFであるVT,VTI,VOOについてもpythonで比較しました。
配当金は少ないものの高い値上がりが期待できます。
本記事の内容と比較することで自分がしたい投資手法を考えるきっかけになると思います。
一括投資とドルコスト平均法についてもpythonでシミュレーションを行いました。
結果一括投資の方が良い結果を得られる確率が高いことが分かりました。
本ブログではインデックス投資を初心者にはお勧めしています。
ぜひこちらの記事を参考にして投資をはじめ、豊かな資産を築きましょう。
参考記事
本記事で紹介したSPXLについて詳しく紹介されています。
銘柄選定する際にこれらも参考にしてはいかがでしょうか。